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WANDERLUST / 宮城県・松島

政宗が育んだ“伊達な文化”

奥州随一の禅寺「瑞巌寺」で、豪壮かつ華麗な“ 伊達な文化”に触れる

仙台駅から電車で40分、宮島(広島県)、天橋立(京都府)とともに日本三景のひとつに選ばれている人気の景勝地が【宮城県・松島町】。小さな島々が点在し、四季折々に変化する日本らしい景色が眺められる松島湾は、その絶景に、俳人、松尾芭蕉も思わず句を詠むのを忘れてしまったとも。また、仙台藩を築いた伊達政宗の影響が今でも色濃く残る場所でもある。豪華絢爛かつ粋で斬新な“伊達な文化”掘り下げてみる。

©zuiganji

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禅寺ならではの重厚さを感じる外観と桃山文化の影響を受けた豪華絢爛な内部

誰もが一度は訪れたい憧れの地であり、いつの世も変わることなく人々を魅了する、日本三景のひとつ松島は、伊達政宗で知られる伊達家ゆかりの仏閣や歴史的建造物などの文化財が数多く存在し、町を歩けばその息吹を感じることができる。

その中でも、政宗の美へのこだわりが存分に反映されているのが、伊達家の菩提寺で奥州随一の禅寺でもある「瑞巌寺」である。開創は平安のはじめ、828年にさかのぼり、平泉・藤原氏の外護を受け壮大な寺となるが、400年ほどで荒廃。その後、政宗が仙台城の造営などと併せて、1604年に衰退していた寺の復興に着手した。

諸国の名工130人を集め、建材も紀州熊野山中から取り寄せるなど心血を注ぎ5年の歳月をかけて完成させたと言われている。禅寺ならではの重厚さを感じさせる外観に対し、桃山様式の粋を尽くした豪華絢爛な内部は“伊達な文化”ならでは。思わず息を呑んでしまうとともに、当時の政宗の権力と知力、財力、文化力に驚く。現存する本堂・御成玄関、庫裡・回廊は国宝に、御成門・中門・太鼓塀は国の重要文化財にも指定されている。

また、瑞巌寺から少し離れた海沿いにありながら、境外仏堂として寺の境内と捉えられている「五大堂」も、政宗が再建した東北地方最古の桃山建築であり、日本三景松島のシンボルでもある。海岸に近い小島に立つ五大堂には、朱色のすかし橋が架けられ、橋げたの隙間から海が見えるのだが、江戸後期の紀行文には、恐ろしくて渡れなかった人のことが紹介されている。堂には、繊細な彫刻が施されており、ここでも先人たちの技術に驚愕してしまう。仙台藩を築いた伊達政宗は、戦国大名として政治や軍事面での活躍は広く知られているが、時代を代表する文化人でもあった。東北の地に根付いていた文化の再興を目指しながら、伝統的な文化を土台に、桃山文化の影響を受けた豪華絢爛、そして政宗らしい粋な斬新さや時代の流れを汲み取りながら、この地に新しい“伊達な文化”を開花させた。

その後、時代を重ねながら、様々な方面にも拡大しながら熟成されていった。その文化は400年以上の時を超え、現代の人々の生活の中にも深く根付いているにちがいない。

Words: Yoshuhiro Kanomori 【取材協力】宮城県 【写真提供】宮城県/瑞巌寺

機内誌:『travel 360』Issue08より。 他の記事も、ぜひ機内でお楽しみください!

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